2024年10月8日に、NTTドコモからリコールのリリースがありました。
NTTドコモから提供されたSIMカードのうち、2021年12月~2022年10月にかけて製造された、SIMカードの一部で、今後、通信ができなくなる可能性があるということです。
対象となる回線は93万回線で、広く私たち影響を及ぼすこととなります。
本記事の内容
・今回のリコールの内容の概要
・不具合の内容や原因
・自分の回線がリコール対象かどうかの確認方法と今後のNTTドコモ側の対応
・リコールの元となった、外注先のギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社とは
100万回線規模でのSIMカードのリコールは、現役ネット回線営業マンの私の知る限り初めてです。
この記事では、今回のリコールの詳細について解説するとともに、問題の発端となっている、SIMカードのNTTドコモの外注先であるギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社についても解説していきます。
NTTドコモのSIMカードにリコール発生!原因や対処法は?
リコール対象SIM枚数 | 約93万枚 |
対象SIMの製造期間 | 2021年12月~2022年10月 |
発生する不具合 | 今後通信ができなくなる可能性 |
影響の範囲 | NTTドコモのみならず、ocnやドコモ回線の格安SIMにも影響 |
今後の対応 | 無償交換 |
今回発生した、NTTドコモのSIMカードにおける約93万回線を対象にした大規模なリコール。
これほど大規模なSIMカードにおけるリコールは、現役ネット回線営業マンの私の記憶する限り初めてですし、過去にも例のない出来事だと思います。
今回の事象が起こるに至った経緯や原因、また自身の利用するSIMカードがリコール対象だった場合の対処法を解説していきます。
SIMカードとは
SIMカードとは、通話や通信を行うために、スマホをはじめとする携帯電話に入っているICチップです。
このチップが入っているために、外でもWi-Fiに繋ぐ必要なく通話やネットを行うことができます。
そして、今回の問題が起きているのもこのSIMカードです。
NTTドコモのSIMカードの不具合の症状は?
通信ができなくなるというのが、今回の不具合の症状です。
また、現在は通信ができていても、今後不具合が起きる可能性があるということで、NTTドコモは正常なSIMカードとの交換を無償で受け付けることを発表しています。
NTTドコモは、「製造工程における一部工程の不足」を今回の不具合の原因としています。
また、今回のリコール対象の93万回線のうち、18万回線が「OCNモバイルONE」、42万回線が「ドコモ回線の格安SIM」となっており、ドコモの本ブランド以外を利用中の方を含めて広い範囲に影響がある見込みです。
自分のSIMカードが対象かどうかの調べ方と対処法
調べ方
・自分の使う携帯からSIMカードを取り出して確認する
・ドコモからの通知を待つ
今回リコール対象となっているSIMカードは「GD06」から始まる製造番号(15桁)のSIMカードの一部です。
自身の携帯からSIMカードを取り出して、SIMカードに記載の番号が「GD06」からはじまっていれば、対象であるか可能性があります。
例として、画像のSIMカードは「AX070」から始まるので、今回のリコール対象ではありません。
ちなみに、頭のアルファベット2つはSIMカードの製造元を示しており、今回リコール対象となる「GD」からはじまるSIMカードはギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社が製造しているSIMカードです。
また、今後、10月中旬から随時、郵送で対象者には無償交換の案内が届くということで、現状は動かずに待っていても問題ありません。
今回のNTTドコモのSIMカードのリコール問題は誰が悪い?
今回のNTTドコモからのリリースには直接言及はなかったものの、SIMカードのギーゼッケ製造元であるギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社に最も大きな責任があるといえます。
あまりなじみのないこの会社の親会社は、ドイツに本拠地を置き、初めて世界でSIMカードを開発し、そのほかにも各国の紙幣の印刷も請け負うほか、170年以上の歴史を誇る、由緒正しい会社です。
そんな会社に一体なにがあったのでしょうか。会社の歴史とともに深堀していきます。
ギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社はどんな会社?
ギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社は、ドイツに本社を置くGiesecke+Devriento(ギーゼッケ・アンド・デブリエント)グループの日本法人です。
ドイツに本社を置くギーゼッケ・アンド・デブリエントグループは、各国の紙幣やコインの印刷や製造、各国のパスポートの免許証などの発行技術を提供するなど、高い紙幣印刷技術や偽造防止技術を有している企業です。
ここでは、本体の「ギーゼッケ・アンド・デブリエントグループ、その日本法人である「ギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社」についてそれぞれ解説していきます。
ドイツに本社を置く、ギーゼッケ・アンド・デブリエントグループ
名称 | Giesecke&Devrient GmbH(ギーゼッケ・アンド・デブリエント) |
設立 | 1852年 |
本社所在地 | ミュンヘン(ドイツ) |
創設者 | ヘルマン・ギーゼッケ、アルフォンス・デヴリアン |
事業内容 | 紙幣や有価証券、パスポートなどの公的書類をはじめとする高度な技術を要する印刷事業 |
170年を超える歴史を持つギーゼッケ・アンド・デブリエントグループ
ギーゼッケ・アンド・デブリエントグループの中核企業であるGiesecke&Devrient GmbH(ギーゼッケ・アンド・デブリエント)は1852年に設立されました。
「GmbH」は、ドイツの法人形態のひとつで、日本でいう株式会社にあたります。
1852年にヘルマン・ギーゼッケとアルフォンス・デヴリアンの2人により設立されたギーゼッケ・アンド・デブリエントは、設立から2年後には紙幣の印刷を受注し、その12年後にはパスポートの印刷を受注するなど高度な印刷技術と偽造防止技術を必要とする領域で事業を伸ばしていきました。
現在のギーゼッケ・アンド・デブリエントグループ
高度な印刷技術で事業を伸ばしていったギーゼッケ・アンド・デブリエントグループ。
今でも事業の主軸は同じです。
主要各国のみならず、自国で紙幣を印刷する技術がない発展途上国向けに技術の提供や紙幣の印刷を受注したり、各国のパスポートや免許証などの公的書類の製造、携帯のSIMカードの製造でも高い存在感を示しています。
日本法人のギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社
法人名 | ギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門1丁目17番1号 |
代表 | 松本 祥憲 |
資本金 | 2億円 |
株主 | Giesecke&Devrient GmbH・株式会社日立ハイテク |
2002年に日立グループとの合弁会社として設立されたギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社
ギーゼッケ・アンド・デブリエント株式会社は、日本市場でのSIMカードやクレジットカード、保険証などの公的書類をはじめとしたカード印刷の事業を目的として、Giesecke&Devrient GmbHと株式会社日立ハイテク(当時の株式会社日立ハイテクノロジーズ)と共同で設立されました。
Giesecke&Devrient GmbHは、世界有数の印刷高い印刷技術を提供し、株式会社日立ハイテクは日本市場での顧客基盤を持ち、日本特有の商慣習を熟知していることから、日本市場での販売を円滑に拡大することを目的とした組み合わせであることが推測されます。
まとめ
私たちの生活にもはや欠かすことのできない携帯電話。
SIMカードが不良となれば、生活に大きな支障をきたすことになります。
本記事を参考にいただき、不具合が出る前に、早めに正常品との交換をはじめ、対応をされることをおすすめします。